転職・就職のための情報プラットフォーム「OpenWork」を運営するオープンワーク株式会社(所在地:東京都渋谷区、代表取締役:大澤陽樹)は、OpenWork の会社評価スコア・社員クチコミを使用した、早稲田大学商学学術院 梁取美夫教授(人事管理論)との共同研究論文「オンライン上の従業員クチコミは企業業績の先行指標となるか(それともその逆か)?」が、Academy of Management(AOM:米国経営学会)に採択されたことをお知らせします。
■ Academy of Management(米国経営学会)とは
AOM は世界最大の経営学系の学会で、毎年 8 月に開催される年次大会には 1 万人以上の研究者らが参加します。このたび米シカゴで開催された 2024 年の年次大会に本論文が採択され、8 月 11 日の Human Resources分科会のセッションにおいて研究発表を行いました。
■論文概要
本研究は「OpenWork のクチコミが良い企業は、その後の企業業績が向上する」という仮説のもと、一定数のクチコミが投稿された企業 440 社を対象に、2016~2021 年のデータを分析しました。その結果、OpenWork の総合評価スコア(※1)が前年比 1 ポイント改善した企業では、翌年の ROA(総資産利益率)が同じく 1 パーセントポイント程度上昇していることが分かりました。総合評価スコアが改善した企業では、その前に何らかの人的資本投資に取り組んだ可能性があります。このため、クチコミが反映していると考えられる従業員態度(※2)が前向きなものに変化し、翌年の ROA を押し上げたと考えられます。
本研究の特徴として、従業員の良好な態度はその後の企業業績を押し上げることが確認されたことから、人事制度に投資することの効果やリターンを一定程度示すことができた点が挙げられます。
また、逆に、企業業績が上がると翌年の総合評価スコアが向上することも見られました。高業績の企業は利益の一部を従業員に還元するため、社員からの評価も向上することが考えられます。
(※1)企業に関する「待遇面の満足度」「社員の士気」「20 代成長環境」など 8 項目の評価スコアから、独自のアルゴリズムで算出
(※2)「組織に対してどう感じているか」「自分の処遇が適正に行われているか」や職務満足度を指す
■著者プロフィール
梁取美夫(やなどり・よしお)氏
早稲田大学商学学術院教授。専門は人事管理論。人事院で国家公務員の人事制度の企画立案業務に従事した後、アメリカのコーネル大学で博士号(人事管理論)を取得。カナダのブリティッシュコロンビア大学、オーストラリアの南オーストラリア大学を経て、2020 年から現職。特に、企業の人事制度と企業業績の関係を中心に研究を行い、欧米の査読付ジャーナルに論文を多数掲載。
■OpenWorkについて
OpenWork(オープンワーク)では、実際に働いた経験に基づく「社員・元社員の声」を共有しています。企業の社員・元社員から情報を収集している WEB サイトとしては、国内最大規模のクチコミ数と評価スコア約 1,750万件が蓄積されており、会員数は約 665 万人(2024年7月末時点)となっています。私たちは、企業の労働環境をよりオープンにしジョブマーケットの透明性を高めることで、健全な雇用環境の発展に貢献するとともに、企業と個人のより良いマッチングをサポートし、一人ひとりが自分らしく生きることを応援したいと考えています。